中国人の発音のちがいってどんなものがあるのでしょうか。私たち日本人からみれば誰も皆同じ様な発音をしているように聞こえます。ところが、ながく大陸で生活し毎日中国人の方々と接触しているとやはり発見できるものです。意外なことに、このことは中国人たちはほとんど気にしていないようですが私たち日本人には気になるところです。
日本人の話す日本語でも、こもった母音の音、子音の不明確な音、発音できない子音等々いろいろな人がいます。同じように中国人の中にも多くの“くせ”持ちがいます。私が発見した多くの中国人の中に見られる代表的な発音(障害)をお話しましょう。
次の表は中国語の基本的な発音を示すものです。中国語では子音を声母と言い、母音を韵母といいます。最近の中国の青年層の中にこの声母の音を正しく発音できない人を多く見かけられるようになりました。たとえ正しく声母の発音ができたとしても、声母の音の強さが韵母の音の強さと比較して弱い人がいます。これはかなり多くの人々の間で見られる現象です。なぜこのような現象が進行しているのかいまだ研究途中ですが、ひょとして英語の勉強のしすぎか、音読の減少か、あるいは伝達の曖昧さの風潮があるのかもしれません。さらに下のグラフを見てください。
このグラフは中国人の女子大学生が発音した中国語の一部です。矢印間の声母の音の強さが韵母のそれと比べて小さいのが良くわかります。
この様な発音の“くせ”を持っている中国人から中国語を習うと、日本人なら多くの人は頭が痛くなる(変に疲れる)のを感じます。聞きづらいままに継続してこの音を聞きますと正確な中国語の音がおぼえられないばかりか正しい中国語の習得ができません。逆に日本人がこんな音を発音することの方が難しいと思われます。
さらに問題なのが一部の中国人の若者の中で間違った声母の矯正ができない人がいることです。以前私が日本語を教えた中国の若い女性たちに中国語の声母の発音ができないから日本語の発音ができないということに出くわしたことがあります。私は彼女らに中国語の発音を矯正したのですがどうしても直らないのです。そんな彼女らでも中国人の間では平然として中国語を話しています。それが中国語なのです。
しかし日本人が中国語を教わる時はそんな鷹揚さは許されません。中国語を習おうとする人がそこまでわかって教師を選ぶことは大変難しいので、中国語の音に長けた私たちが推薦する講師から学ぶことは大切なことなのです。
私たちは中国語の音を研究しています。音の研究成果から日本人に適した中国人講師を選んでいます。中国人なら誰でも講師になれる訳ではありません。現在の中国では、特に若者や学生たちに講師不適者が多くいます。